子どもの “甘党” と シニアの “濃い味好き” を丸ごと解説
ざっくり3行まとめ
- 味蕾は約1万→高齢期には半数以下に減少し、再生スピードも鈍る。
- 苦味・酸味の感度が先に落ちやすく、唾液・嗅覚の低下も重なり “味が薄い” と感じやすい。
- 濃い塩味・甘味に偏りがちなので、出汁や香味野菜・酸味で“薄味でも満足”を目指そう。
1. 味蕾(みらい)の数は人生でこう変わる
年齢 | 味蕾数(平均) | 特徴 |
---|---|---|
0–6 歳 | 約 10,000 個 | 苦味も敏感 → 野菜嫌いが多い |
20 代 | 約 9,000 個 | 味覚ピーク、香りの識別力も高い |
40 代 | 約 7,000 個 | 減少開始、濃い味を好み始める |
70 代 | 約 5,000 個 | 酸味・苦味受容体の減少が顕著 |
味蕾は10 日サイクルで再生しますが、年齢とともに再生スピードが低下し、総数も減少。
出典:Age-Related Changes in Taste Buds (2019)
2. 先に鈍るのは「苦味」「酸味」センサー
- 苦味・酸味受容体は 有毒物質検知センサー。
- 生存に必須な「塩味・甘味」受容体は比較的残る。
- 結果:シニアほど “苦味に鈍感→甘味・塩味を強く感じたい” という傾向に。
3. 唾液と嗅覚も味覚を左右する
3-1. 唾液の量と質
- 40代以降、特に安静時唾液は 15–40 %減少 する報告が多い。 PubMed
- 唾液が減ると舌に味物質が届きにくく “味が薄い” と錯覚。
3-2. “香りの味” が薄れる
- 味の 8 割は嗅覚で感じる香り成分。
- 嗅上皮の感覚細胞は 60 代から急減少し、香りがぼやけて味も平坦 に。
4. 年齢別「味覚の困りごと」と対策
年齢層 | よくある悩み | おすすめ対策 |
---|---|---|
幼児 | 野菜の苦味がツライ | – 甘みのある野菜を選ぶ(にんじん、かぼちゃ) – 一度に少量、回数で慣らす |
中年 | 濃い味が好きに | – 出汁・香味野菜で“うま味UP” – 減塩味噌・低ナトリウム醤油に置換 |
高齢 | 何を食べても薄い | – レモンやスパイスで香りと酸味をプラス – 舌の体操で唾液促進(舌回し10回) |
5. 豆知識:甘党なのは女性?男性?
- 女性は 月経周期で甘味感度が変動(黄体期に甘さUP)。
- 男性は 高 BMI で苦味閾値↓ ⇒ 濃い味を好む研究データも。
まとめ
- 味覚は “味蕾+唾液+嗅覚” のトリプルで決まる → 加齢でどれもダウン。
- 苦味・酸味が先に鈍るため、甘い・しょっぱい味に偏りやすい。
- 出汁・香り・酸味 を活用して “薄味でもおいしい” 食生活を作ろう!
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